鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<252>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<252>
2014年5月17日「息が音になって」


聖書の言葉
新しい歌を主に向かって歌え。主は驚くべき御業を成し遂げられた。右の御手、聖なる御腕によって、主は救いの御業を果たされた。
詩編98編1節)



スペイン・バルセロナでピアノの演奏活動をしている娘の羊子が、去る4月18日から5月1日まで一時帰国し、ディナーコンサートで演奏したり、帰国中の生活については過日のブログで報告している。再びバルセロナに戻ったと思ったら、たて続けにコンサートの予定が入る。5月9日、11日、15日、16日、22日、23日、24日、29日、30日、31日、6月1日の予定は5月9日現在である。その後も予定が入っていることであろう。まあ、体を壊さないように活躍することを祈るのみである。
ところで4月18日に羊子が一時帰国したとき、家族のみんなにお土産を持ってきてくれたのであるが、私にはミニハーモニカであった。なんと一段4穴のハーモニカなのである。スペインではいろいろな演奏家と出会っているが、あるグループの演奏家の一人が、口の中にミニハーモニカを入れ、口で演奏しながらギターでも演奏していたというのである。羊子は、ハーモニカは父が演奏できるので、その演奏家にミニハーモニカの入手方法を聞き、お土産に求めてきたのである。あまりにも小さいハーモニカなので、こんなので演奏できるのかな、と疑問に思う。さっそく口に入れて演奏してみる。それが、驚いたことに演奏らしくなる。これなら練習すれば、結構な演奏ができると思ったのであった。ハーモニカは口笛と同じようで、楽譜を見ながらというより、音の感覚である。曲目を知っていれば、口笛がふけると同じように、ハーモニカも楽譜を見ないでも感覚で演奏するのである。ましてこのようなミニハーモニカは楽譜を見ながらの演奏ではなく、感覚で演奏することになる。限りなく口笛に近いミニハーモニカだからである。
家でもこのミニハーモニカを吹くことがあるが、今では雑音にしか聞こえないと思うので、なるべく誰にも聞かれない場所で吹いている。隣近所とは結構離れてはいるが、雑音として聞こえるだろう。一番良い場所は、野島公園である。野島公園のバーベキュー場やキャンプ場についてはこのブログでも紹介している。土曜日、日曜日、祝日になると大勢の人々がアウトドアーを楽しんでいる。しかし、週日は人が少ない。人間や犬の散歩の人々、釣り人がいるくらいで、静かなものである。ここでどんなに高い雑音を発しても、咎める人はいない。もっとも散歩の人が近くに来たら雑音は停止する。結構広い野島公園の松林を歩きながら、ミニハーモニカの雑音を発しているのである。最近はハーモニカの演奏もしてないので、ミニと共に吹きながら生活しようかと思っている。
ハーモニカを吹くようになる機縁については、しばしば記している。一昨年の9月から二ヶ月間、連れ合いのスミさんと共にバルセロナの羊子のもとで過ごしたが、その時、初めて皆さんの前で演奏したことについてブログに記し、その時も私がハーモニカを吹き始めた頃をブログで紹介しているのである。小学校の高学年の頃であったと思う。清水ヶ丘教会の教会員の方がプレゼントしてくれたのである。その方は日本聖書協会の聖書頒布員であった。昔、日本聖書協会は聖書の部分、マタイによる福音書だけを小冊子にして販売していた。それを聖書頒布員が家々を訪問して頒布していたのである。その方は鈴木家に聖書の冊子を置いて、周辺の町々を歩いていたのである。その方のプレゼントであった。おりしも小学校では学芸会の練習中であった。クラスで楽器の演奏をすることになっていたのである。男の子は打楽器のようであった。それでハーモニカの猛特訓を独学で行い、ある程度ハーモニカがふけるようになって、クラスの練習で披露したのであった。楽器の演奏と言っても、当時はたいした楽器もなく、木琴やカスタネット、トライアングル、太鼓くらいである。その楽器演奏にハーモニカが加わったので、指導する先生も喜んでくれる。奇跡はそれからである。数日後に一人の友達がハーモニカを持参して練習に参加する。そして、さらに数日後には4、5人の友達がハーモニカを持参するようになったのである。おそらく、家で親にねだったのであろう。「みんなハーモニカを持っている」というわけで。ハーモニカとの出会いは、以後、自分勝手に吹いていたのであり、楽譜を見ながら演奏するということではない。時々、ハーモニカを吹いていたことが、どんなにか慰めになったのではないかと思っている。
さてミニハーモニカの演奏のお披露目はいつになるのかな。毎日、野島公園に通うことにしよう。



所持している鈴木楽器のトレモロ・ハーモニカとミニハーモニカ。
下敷きのマス目は1センチメートル。



野島公園で、アウトドアーで賑わっている時に写しているが、普段は森閑としている。