鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <80>

 

隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<80>
2012年4月4日 「遥かなるバルセロナ」 


聖書の言葉
わたしは、御子の福音を宣べ伝えながら心から神に仕えています。その神が証ししてくださることですが、わたしは、祈るときにはいつもあなたがたのことを思い起こし、何とかしていつかは神の御心によってあなたがたのところへ行ける機会があるように、願っています。あなたがたにぜひ会いたいのは、霊の賜物をいくらかでも分け与えて、力になりたいからです。あなたがたのところで、あなたがたとわたしが互いに持っている信仰によって、励まし合いたいのです。
(ローマの信徒への手紙1章9-12節)


 
 昨年の今日、4月4日は成田飛行場を飛び立ち、バルセロナに赴いた日である。早いもので一年を経た。スペイン・バルセロナで娘の羊子がピアノの演奏活動をしているので、かねてより羊子から招きを受けていた。しかし、牧師・園長の現役中は果たすことができない。2010年10月からは職務を退任し、無任所教師になったので、どこの教会にも所属しなくなった。そのため、ようやく実現の方向になった。だから、すぐにも行こうかと思ったが、退任の挨拶や知人の牧師就任式やらで、なかなか日程の調整ができない。年が明けて、4月に行くことにし、旅行社を通して手続きを始めたのは2月になってからである。4月4日から5月18日までの45日間の滞在とした。そうしたら3月11日の東北関東大震災が発生する。しばらくはバルセロナ行きをどうするか思案することになる。日本の大変な状況の中で、果たして行って良いものだろうかと思ったのである。しかし、観光旅行ではなく、娘を訪問するためであり、今行かないとこの先どうなるか分からないので、予定通り行くことにしたのである。
 バルセロナでの滞在記録は、昨年2011年6月1日から70日間にわたり「スペイン滞在記」としてブログで公開している。「スペイン滞在記」で検索しても、なかなか開けないが、「鈴木伸治スペイン滞在記」で検索すればすぐに開くことができる。また、そのブログをまとめ、「スペイン滞在記」として本にしている。もっともこの本は簡易製本機で私が制作したのである。関係者の皆さんだけに配布したので、一般の皆さんはネットでブログを見ていただく他はない。従って、改めてスペイン滞在状況を記すことはないのであるが、感想だけでも記しておこう。
 昨年は私と連れ合いのスミさん、次女の星子と三人でバルセロナに行ったが、今年は羊子が3月27日から4月9日まで帰国している。改めてバルセロナ滞在中のことなどを語りあう。何と言っても、羊子の住居の目の前がサグラダ・ファミリアであり、あの大きな教会を見ながら過ごしたのであった。最近、原書房から外尾悦郎さん著「サグラダ・ファミリア」(ガウディとの対話)が刊行されたので購入した。ガウディの意図したことを鋭く見極め、外尾さん自身が、今も建築に携わっているのである。彫刻の細かい説明等、大変参考になっている。外尾さんと言えば、先日テレビで取材されており、そのご苦労話等を示されたのである。サグラダ・ファミリアばかりではなく、最近はテレビでヨーロッパの歴史を示す番組が多い。中でもローマ帝国の残した遺跡が数々紹介されている。遺跡ばかりではなく、現在のヨーロッパの街並が紹介されているが、いずれの街並も今日まで戦争の足跡を残しながら繁栄しているのである。人間の復興の力をつくづく示されている。日本の復興も、あの大震災を忘れてしまうほど、豊かに導かれることを願っている。ヨーロッパの街並をテレビで観賞するのを喜びとするようになるのは、やはりバルセロナに行ってからである。外国の街並を直接歩き、食文化を楽しみつつ過ごしたことは、文化を築く人々の知恵と力を示されるのである。滞在中、フランスのパリを訪ね三大美術館を鑑賞したこと、スペインのブルゴスやマドリッドにも訪れたこと、色々な経験が視野を広め、物の考え方を変えたようである。



バルセロナ滞在中、目の前のサグラダ・ファミリア見つつ。


 滞在中、日本の災害復興協力コンサートが三回ほど開催され、いずれも羊子のピアノ演奏が行われた。スペインの皆さんが日本の復興を心からお祈りしてくださっていることを示されたのであった。また、バルセロナ日本語で聖書を読む会、マドリッド日本語で聖書を読む会の皆さんとの出会いが与えられている。いずれの集会も少数であるが、集会が続けられていることは敬服のかぎりである。特に日本人がバルセロナマドリッドを短期滞在する時、これらの集会は平安と喜びを与えてくれるのである。バルセロナでは20年も集会が続けられていること、祈りつつ支えているのである。これらの集会を担う皆さんとの出会いは、六浦谷間の集会を始めている私達にも希望を与えてくれているのである。
 遥かなるバルセロナであるが、今は集会の皆さんとメールで消息を交換し、月報も配信してくださっているので、バルセロナばかりではなく、ヨーロッパの諸集会の事情を知ることになっている。もはや「遥かなる」ではなく、「近きにいます」皆さんになっている。