鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<27>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<27>
2014年11月22日「東西の公園」



 サグラダ・ファミリアは東側が「聖誕の門」であり、西側が「受難の門」と称している。「聖誕の門」はイエス・キリストの出現に関わる彫像や彫刻が建物にはめ込まれ、飾られている。一般的には「生誕の門」と称されているが、私は「聖誕の門」と称することにしているのである。天上の世界まで表現されている。西側はイエス・キリストの受難、十字架の物語がいろいろとあらわされている。このサグラダ・ファミリアは十字架に架けられた全裸のキリストが特徴なのである。これらの彫像や彫刻を鑑賞しているだけでも多くの時間を要する。教会の中に入ればまばゆいステンドグラスに驚くのである。
 これらのサグラダ・ファミリアを東西の公園から見るのも、素晴らしい眺めとなる。羊子の家は6階にあり、ベランダからは目線の高さで毎日のように「受難の門」を見ているのである。犬達の散歩の時には東側の「聖誕の門」の前にある公園を歩く。この公園には池があり、この池越しにサグラダ・ファミリア「聖誕の門」を写真に収めるのが良いそうだ。だからツアーのガイドさんが皆さんをここに連れてくる。時々、日本人ツアーとも出会う。ツアーの皆さんはこの背景を入れながら記念写真を写しているのである。日本人をかなり見かける。ツアーばかりではなく個人的に見学している人もあり、グループで来ている人たちもいる。今日も午前中犬達と散歩をしている時にも、3人の日本人と出会う。丁度、八百屋さんでこちら特有のキノコが売られているので、羊子の説明を聞いていたとき、日本人の3人グループも珍しいキノコに足をとめる。「グループの旅行ですか」と問うと、そうであると言い、これからグエル公園に行くのだと言われる。この場所からグエル公園まで何分くらいかと聞かれるので、羊子が30分くらい歩けば行かれると答える。11時30分の予約だから、丁度好いわねと話している。旅行慣れしている人たちに見える。三匹の犬達に興味を示しながら、私達のことをそれとなく尋ねていた。羊子がバルセロナに住んでいること、父親が三ヶ月滞在していることなどを話す。日本人はだいたいわかるが、中国人や韓国人は似たような風貌であるので、日本人だと思っても声をかけられない。やたらに声をかけると怪しまられるからである。
 ところで東側と西側の公園は特色がある。東側の公園は前記したように池があるので、その分狭くなっている。写真を写すスポットになっているが、そんなに広い公園ではない。それでもペタンカと言う高齢者が行っているゲートボールみたいな遊び、ペタンカのコートが二面あり、またボーリングのような競技、ボッチェのコートが一面ある。そしてテーブルをおいてトランプ、カード、麻雀みたいな競技をしている場がある。いわば東側は高齢者がくつろぐ場があるのである。こちらの高齢者は遊び上手である。積極的に家から出て、いろいろな遊びに挑戦し、おしゃべりをして過ごす。それに対して日本の高齢者は引きこもりが多く、いつになったらデイサーヴィスに行くか、老人施設に入るか、そんなことばかり考えているようである。高齢者の夫婦が手を繋いで、堂々と歩いているのを見たことが無い。東側の公園は高齢所の喜びの場であるが、それに対して西側の公園には高齢者のくつろぎの場がない。しかし広い公園となっており、置かれているベンチに、それこそ一日中腰かけている高齢者もいる。広い空間があるので、いろいろなイベントが行われる。今日もカタルーニャの存在を広める催しが行われていた。カタルーニャの歴史的な物語りが飾られていたし、地理的にもこれだけの範囲であると示しているのである。さらにパエリアはカタルーニャの特別な食べ物でもあり、その場で料理していた。丁度12時頃であったが、午後2時頃からの昼食の申し込みをしているところであった。羊子の家にいても太鼓を鳴らして景気づけをしている音がうるさく聞こえてくる。
 2011年に来た時には民族的なダンスの披露が行われており、ステージには次から次へと地域的なグループがダンスを披露しているのである。あるいはこの広場では編み物の大会みたいなものが行われていた。何かとこの広場でイベントが開かれるようである。東側でもイベントが行われる。道路を通行止めにして広場を造り、人間の塔やヒガンテス(日本的な大きな案山子)の踊り等が行われる。そして光の祭典も「受難の門」ではなく、「聖誕の門」で行われるのである。サグラダ・ファミリアの建物に様々な光を当て、すさまじい音響で効果を上げる。15分間隔で行われるが、多くの人々が見学に来る。羊子と我々夫婦が見学に行くが、迷子にならないように気をつけたものである。この広場をいつも犬の散歩で歩いている。多くの場合、この広場でシャボン玉屋さんがそれはそれは大きなシャボン玉を作ってはお金を稼いでいる。公園には東も西も鳥がたくさん来ている。鳩が多い。落ちた木の実を食べているのである。コトラと言う緑の小鳥はきれいな色であるが、鳴き声はむしろきたない。その他に黒い鳥、グレーの鳥等がいるが名前は知らない。鳥たちもこの公園を喜び、また犬の散歩の場であり、いろいろな犬達と出会う。犬達はいつも出あっているので、喧嘩することもなく、尻尾を振りながらじゃれあうのである。人間も鳥たちも、犬達もくつろぎの東西公園である。そして何よりも観光地なのである。



グレーの鳥。鳩の様である。



日本では見たこともないキノコ。夕食に調理される。



カタルーニャを広める祭典。



西の公園から見るサグラダ・ファミリア